Webデザイナーの会社選び 力を伸ばせる会社と伸ばせない会社

どうせ働くなら、在籍するだけで自分の実力を上げる手助けになる会社を選んだ方が得ですよね。
足を引っ張る会社に入ってしまうと、大事な時間が無駄になってしまいますし、実際にそういう会社は存在します。

Webデザイナーとして就職を考えている人やこれから転職を考えている人向けに、いてよかった会社とそうでない会社を経験則からまとめてみようと思います。
※あくまで私の経験によるものです。

会社にもいろいろある

突然ですが、以下の会社の中で、実力がつきそうと思われる順番、もしくはこの会社が良さそうと思われる会社を考えてみてください。

残業 忙しさ スケジュール(納期) 人間関係 ルーチン作業
A会社 多い 暇な時期と忙しい時期がある 厳しい 良い 多い
B会社 なし 暇な時期と忙しい時期がある 甘い 普通 たびたびある
C会社 なし 忙しい 甘い 普通 ほとんどなし
D会社 多い 忙しい 厳しい 悪い ほとんどなし
E無職

どれが良さそうでしょう?
これらは私が実際に経験した職場環境です。
無職は、転職の合間の時期などですね。

結論から言うと、実力が伸びたのは

B → C → E → D → A

の順です。

なぜでしょうか?
その理由を以下に書いて行きます。

 

大切なのは、「時間があるかどうか」

キーワードは「時間」です。
とにもかくにも時間があるかどうかです。

問題にぶち当たった時、いかに諦めずそれを突き詰めて解決できるか、そして学習できるかがとても重要なのです。

ちょっと地道で面倒な方法だけど自分の知っている方法で解決できる
という場合、時間がなければその方法でやってしまいがちです。

しかし、それでは実力を伸ばすチャンスを失います。
その時にもっとスマートにできる方法はないかと考え、調べ、たくさん引き出しを作ることが次につながるのです。

デザイン、コーディング、プログラミングなど一連の作業において、Webデザイナーが極めなければいけないことはたくさんあります。

そして、それぞれの過程において、答えは一つではありません

例えば、50ページあるサイトのグローバルナビを作る機会があったとします。
ナビは全ページに入り、同じコードです。

この時、やり方は何通りかあります。

1. 地道に50ページ全てに同じコードを入れる

2. DreamWeaverのテンプレート機能を使う

3. phpを読み込めるようにし、インクルードファイルを作る

4. WordPressなどを使ってサイトを構築する

他にもやり方があるかもしれません。

もし何も知らない状態で、50ページも同じコードを書くなんて面倒だし効率が悪いなぁ
と感じた時、
時間があればネットで調べて色々試してみることができますよね

試している時は、もちろんすんなりいかないこともたくさんあります。
というか、すんなりいかないことがほとんどです。

紆余曲折を経て実装に成功し、さらにそのことについてさらに深く調べていくと、知識はどんどん深まって行きます。

時間がなければこんなことはできません。
調べてやってみる時間があるかどうか
これが最重要です。

それを踏まえて、先ほどの会社の例に挙げた、ポイントになる部分を見て行きましょう。

 

残業時間は無いところがベスト

しっかり仕事をしていて残業がない制作会社はたくさんあります。

実力を伸ばしたいなら、「残業は当たり前」という考えは捨てるべきです。

そもそも、WEBデザインの作業自体はパソコンがあれば家でもできます。
会社の案件が会社でしかできないだけであって、長時間会社に残るのは、会社の案件ばかりを会社のルールの中でずっとやっているに過ぎません。

業務時間外でも勉強をすることは大いに実力アップにつながりますが、会社でやらないといけないということはまったくありません。

また、残業が多い会社というのは、全体的に従業員のオンオフがぼんやりしているケースがあります。
そのためディレクションも甘くなり、そもそも業務時間内にできるかどうかを考慮したスケジュールをディレクターが組んでいない可能性があります。

残業があるかないかは、自分の時間を確保できるかのわかりやすい目安になります。

 

忙しすぎる会社は伸びにくい

毎日息つく間もなくやることが絶えない会社は、今自分が担当している案件についてじっくり考える時間がありません。

もっと効率良くできないか、他に方法はないか、やってみたいけど時間もないので諦める…ということになってしまいます。

業務時間内に少し空きの時間があれば、忙しかった時に遭遇した問題点についていろいろとまとめることができるので、次につなげることができるのです。

しかし、業務中に空き時間が取れなくても、ディレクションがしっかりされておりスケジュールに余裕があれば問題ありません。
その点でCの会社は、忙しくても必要な時間をとることができました。

スケジュールをどう立てるかは、自分が伸びるかどうかに大きく関わります。

 

スケジュール(納期)に余裕を持たせられる会社はレベルアップにつながる

スケジュールを立てるのは、自分もしくはWebディレクターが別にいる場合があります。

自分でやる場合は業務時間内で余裕を持たせてできるよう調整できますが、
他の人が立てる場合、その人のディレクション能力が問われます。

制作過程において、同じようなサイトを毎回作っていれば別ですが、何か新しいことをやる時、またバグが出た時など、かかる時間が読みにくいことは多々あります。

例えば自分が利用したことのないCMSを使ってサイトを構築しなければいけなくなったら、制作に何日当てれば良いでしょうか。

この時、良いディレクターなら、制作側が「何日かかるかわからない」ということを考慮したスケジュールを立ててくれます。
とりあえず◯日にしておいて、難しそうならこれくらいまでに教えてくださいね
と、制作側に負担にならずお客さんにも迷惑のかからないやり方で間に入ってくれます。

悪いディレクターの場合は、わからないのがわかっていて「何日かかりそうか教えて」と聞いてきたり、
立てたスケジュール通りにいかないと制作側の能力不足とみなします。
お客さんにスケジュール変更を交渉するのを極端に嫌い、要するにディレクターとして責任を取りたがらないのです。

スケジュールに余裕のないディレクションは、制作側の負担でしかありません。

難しいこと、わからないことに挑戦する時間を奪われてしまいます。
その結果、付け焼き刃の技術で対応し、バグが出やすくなります。

逆に言えば、スケジュールに余裕を持たせ、またお客さんともうまく交渉してスケジュール変更もなんなくできる環境であれば、制作側のレベルも確実にアップします。

サイトも無駄がなく確認が行き届いたものとなり、制作者のレベルアップと丁寧な作りのサイトは、ゆくゆくは会社のためにもなります。

実際に、ディレクションが上手いところとそうでないところは、従業員のレベルや会社の雰囲気、サイトのクオリティに大きな差が出るので、よく見極めることが大切です。

補足ですが、例えばその会社の内部のサイトを更新するWebチームのような部署だと、スケジュールにピリピリすることはあまりないでしょう。
あえてそのような会社を選ぶのもいいと思います。

 

人間関係は普通かそれ以上にこしたことはない

これはWEBデザイナーに限ったことではないですが、人間関係が悪いと続きません。

ただ、職業柄、何でもかんでも人に聞けばいいというものでもないので、オフに飲みに行くほどの仲でなくても良いです。

情報交換はもちろん有益ですが、細かいことを何でも人に聞くと、付け焼き刃の知識になりがちです。
また、聞かれた方もコードをある程度読んだり状況を把握することからやらないといけないので、すぐには答えられません

人間関係が良く普段から人に聞ける状況はとても良いことですが、それが直接実力アップにつながるかと言えば一概にそうとも言えないところがあります。

それよりも、できる人のデザインやコードを見て研究することが何よりも自分のためになります

 

ルーチン作業をスキルアップに活かせるかどうかは自分次第

ルーチン作業があると、同じことの繰り返しで一見無駄のように思えます。

ですが、ルーチン作業は効率化を考えるチャンスです。
今1時間かかることを、30分でできるように考えることが実力アップにつながります。

例えば、
決まったフォーマットを新しいフォーマットに落とし込む作業で、エクセルのマクロを組んでみるとか、

毎回複数箇所に同じ内容を更新する作業は、専用のHTMLを読み込んで一気に変わるようにするとか、

画像の文字を変えなくてはいけないところをテキストベースにしたりとか、

一度自分が「面倒だなぁ」と思った作業は効率化を考えてみてください。

先に書いたように残業ばかりだったり忙しすぎてそれすらできる時間がなければ、ルーチン作業を自分のスキルアップに活かすことは難しいです。

ルーチン作業があるかないかではなく、やり方を見直す時間があるかどうかがポイントです。

 

まとめ

何度も言うように、実力をつけるには、自分の時間を作ることが大切です。
無駄に急がされて自分の時間を潰してしまうような会社はお勧めしません。

そして効率化を常に考えることが直接的なスキルアップにつながります。
良い会社を選んでくださいね。